[ストーリで理解]Azure Database Migration Service
ストーリの登場人物についてはこちらを参照してください。
また、シリーズで体系的に学びたい方は[ストーリで学ぶAzureシリーズ]を確認してみてください!
「クラウドへデータベースを引っ越し?」[おてて動かそう]のDB移行大作戦
移行サービスとの出会い
「はぁ…これってどうやって進めればいいんでしょう…」
IT部門に異動して3か月目の美咲は、モニターを見つめながらため息をついていた。手元には「オンプレミスのデータベースをAzureへ移行する」というタスクが割り当てられたメールが開かれている。
「どうしたんすか、美咲ちゃん?」
隣の席から陽気な声が聞こえてきた。田中悠だ。彼はいつものように軽快な足取りで美咲のデスクに近づいてきた。
「田中さん!助かります。実は、オンプレミスのデータベースをAzureに移行する計画があるみたいで…でも、どうやって進めればいいか全然わからなくて…」
「あー、データベース移行ですね!それなら、Azure Database Migration Serviceが便利っす!」悠は親指を立てながら笑顔で答えた。
「Azure Database…Migration…Service?」美咲は慎重に一言一言反芻しながら質問した。
「簡単に言うと、データベースの引っ越し業者みたいなものっす。色んなデータベースからAzureのデータ基盤に、ほとんど停止時間なく移行できるフルマネージドサービスなんす!」
「ふむ、Azure Database Migration Service(DMS)の話をしているようだな」
静かな声が背後から聞こえてきた。振り返ると、山田隼人が腕を組んで立っていた。
種類と特徴
「山田さん!丁度良かったです。このAzure DMSについて詳しく教えていただけますか?」美咲は目を輝かせて質問した。
隼人は席に座りながら説明を始めた。「Azure DMSには現在2つのバージョンがある。最新版のDatabase Migration Serviceと、旧バージョンのDatabase Migration Service(クラシック)だ」
「え?2つあるんですか?どう違うんですか?」美咲は首を傾げた。
「簡単に言うと、新しい方がパワーアップ版っす!」悠が明るく割り込んだ。「最新版は主にAzure Data Studioの拡張機能として使うか、Azure Portal、PowerShell、Azure CLIから使えるんす。今はSQL Databaseへの移行がメインっす!」
隼人はうなずいて続けた。「一方、クラシック版はSQL ServerだけでなくPostgreSQL、MySQL、MongoDBなどもサポートしている。ただし、SQL Serverのシナリオは2026年3月に廃止される予定だ。新しいSQLの移行は最新版を使うべきだろう」
美咲はノートに必死にメモを取っていた。「なるほど…じゃあ、新しい方を使った方がいいんですね」
移行の仕組み
「それで、このサービスって具体的にどうやって使うんですか?」美咲が尋ねた。
「Azure Data Studioというツールを使うのが一番スマートだな。拡張機能をインストールして使う」隼人はタブレットで画面を操作しながら説明した。
「Azure Data Studioって別のツールなんですか?」
「そう、データベース管理用のツールっす。SQL Serverなどを扱うのに便利なんす!」悠が補足した。
隼人は説明を続けた。「Azure SQL Migration拡張機能を使うと、評価から実際の移行まで一連の作業ができる。具体的には次のような機能がある」
彼はホワイトボードに箇条書きで書き始めた:
- 移行準備状況の評価
- SKU(サービスのサイズ)の推奨
- オンラインまたはオフラインの移行モード選択
- セルフホステッド統合ランタイムによるアクセス
- セキュリティ機能(TDEデータベースやSQL/Windowsログイン)の移行
「ええと…オンラインとオフラインって何が違うんですか?」美咲が質問した。
「オンライン移行は、最小限のダウンタイムで移行できるんす。つまり、システムをほとんど止めずに引っ越しできるってことっす!」悠が身振り手振りで説明した。「一方のオフライン移行は、移行中はずっとシステムが使えなくなるんす」
「なるほど!業務への影響を考えるとオンライン移行が理想的ですね」
特徴と選び方
「それで、どのパターンで移行できるんですか?」美咲がさらに質問を続けた。
隼人はモニターに表を表示した。「移行シナリオによって使えるモードが異なる。例えば:
- SQL ServerからAzure SQL Managed Instanceへ:オンライン/オフライン両方可能
- SQL ServerからAzure VM上のSQL Serverへ:オンライン/オフライン両方可能
- SQL ServerからAzure SQL Databaseへ:オフラインのみ」
「ふむふむ…」美咲は熱心にメモを取り続けていた。
悠が補足した。「新しいDatabase Migration Serviceは色々と便利な機能があるんすよ!例えば、ソースの互換性評価や、ターゲットのSKU推奨機能、TDE暗号化されたデータベースの移行サポートもあるっす」
「田中の言うとおりだ。特に新しいバージョンはユーザー体験が向上していて、トラブルシューティングも簡単になっている」隼人も同意した。
「じゃあ古いバージョンより新しいバージョンを使った方がいいですよね?」美咲が確認した。
「そのとおりだ。ただし、必要な機能がどちらにあるかを確認すべきだ。例えば、スキーマ移行はクラシック版とAzure Portal版にはあるが、Azure Data Studio拡張機能版にはない」隼人は的確に説明した。
移行作業のポイント
突然、岩田部長が会議室のドアを開けて入ってきた。「おや、みんなで何を話しているんだ?」
「あ、部長!データベース移行について勉強していたんです」美咲が答えた。
「そうか。データベース移行は[おてて動かそう]の重要なプロジェクトだ。コスト削減とパフォーマンス向上に直結する。何か問題はあるか?」
隼人が応じた。「いいえ。ちょうどAzure Database Migration Serviceについて説明していたところです」
「なるほど。いいタイミングだ」岩田はホワイトボードを指しながら続けた。「データベース移行で重要なのは、事前の評価と計画だ。ダウンタイムはビジネスに直結する。Azure DMSは既存のMicrosoftツールの機能を統合していて、Data Migration Assistantで評価レポートを生成し、推奨される手順を教えてくれる。これで安心して移行プロジェクトを進められるんだ」
「なるほど…」美咲はさらにメモを取った。
悠が質問した。「部長、このサービスはどのリージョンでも使えるんすか?」
「基本的には多くのリージョンで使えるが、最新の情報は『リージョン別の利用可能な製品』で確認するといい」岩田は経験に基づいた回答をした。
【まとめ】Azure Database Migration Serviceのポイント
岩田は最後にホワイトボードに要点をまとめた:
- Azure Database Migration Serviceは、複数のデータベースソースからAzureデータプラットフォームへの移行を最小限のダウンタイムで実現する、フルマネージドサービス
- 最新版とクラシック版の2つのバージョンがあり、最新版の使用が推奨される
- Azure Data Studioの拡張機能を使うと、評価からSKU推奨、実際の移行まで一連の作業が可能
- オンライン移行(最小限のダウンタイム)とオフライン移行(完全停止)の2つの移行モードが選択可能
- 移行シナリオによって使用できる機能とモードが異なるため、事前に確認が必要
- セキュリティ機能(TDEデータベース、SQL/Windowsログイン)の移行もサポート
- プライベートエンドポイントを使用してソースとターゲットに接続可能
「ありがとうございます!これで大分イメージが湧きました」美咲は満足そうに笑顔を見せた。
「データベース移行は一度の大きなプロジェクトだが、今後のクラウド活用の基盤になる。しっかり理解して進めてくれ」岩田は穏やかに締めくくった。
「はい!頑張ります!」美咲は力強く応えた。
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